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コーヒー物語

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コーヒー、イスラムからヨーロッパへ

 イスラムの一般家庭に広まったコーヒーは、やがてヨーロッパやその他の地にも広がっていきました。 ヨーロッパでは当時、すでにラーゼスやアビセンナの著書の中で“ブン”や“バンカム”という薬効を持った植物が紹介されていました。しかし、この植物が、イスラム社会から伝わった飲みもの「コーヒー」であることに人々が気付いたのは、少し後になってのことでした。

 この頃、北イタリア・パドバの大学の薬草園長のアルピニ(1533~1617)は、旅の途中でカイロのトルコ人の家に招かれ、その庭園ではじめてコーヒーの木を見ました。そしてそれがブンと呼ばれ、その木のブナと呼ばれる種子からコーヒーが作られることを知りました。彼はこの木を写生して、1592年に『エジプトの植物』の中で紹介しています。このアルピニの研究と紹介によって、ヨーロッパの人々は、ラーゼスやアビセンナが指摘しているブンやバンカムが、コーヒーであることに気付いたのです。そしてこれがやがて、ヨーロッパでのコーヒー普及の大きな原動力となっていきました。

 コーヒーの伝播には、このようなコーヒーの普及を支えた地道な先人たちの活動がありましたが、それとともに忘れてはならないのは、コロンブスの新大陸発見(1492年)です。航海技術の飛躍と新航路の開拓によって、コーヒーはイスラム社会から世界に広がるための“海の道”を手に入れたのです。

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