韓国スペシャルティコーヒーの現況について
2011.09.28 SCAJ2011カンファレンスより
韓国スペシャルティコーヒー協会(SCAK)
金 世潤事務局長
韓国ではインスタントコーヒー、缶コーヒー、コーヒーミックス(インスタントに砂糖、クリームを混ぜた物)が広く消費されていますが、この3、4年、スペシャルティコーヒーを提供するカフェが急増し、スペシャルティコーヒーが大きな注目を集めています。また韓国の2010年生豆輸入量は160,384トンと2000年に比して1.44倍に増加しています。(日本の約4分の1)
<韓国の基礎データ>
・面積:100,210キロ平米 人口:5,070万人(内ソウル 1,030万人)2011年8月現在
・一人当たりの年間コーヒー消費量:約220杯(日本:約340杯)
<コーヒー市場の流れ>
コーヒー市場は以下のような流れを経て、拡大しています。
1950年代 インスタントコーヒーが軍需品として紹介される。
1968年 大手韓国企業2社がインスタントコーヒー工場を設立
1970年代 レギュラーコーヒーの黎明期(インスタントの代わりにレギュラーコーヒーを使用したカフェが現れる)
1980年代 コーヒーの自由競争始まる。日本よりドリップ技術が導入され、コーヒーを一杯一杯抽出するコーヒーの美味しさが広がる。
1987年 コーヒーの輸入が自由化される。
1989年 海外旅行が自由化される。
1990年代前期 エスプレッソが紹介される。
1990年代後期 第一次カフェブーム(カフェ開業が増加)
2000年代前期 コーヒーについての教育が広がる。
2000年代後期 第二次カフェブーム(フランチャイズの増加)
<スペシャルティコーヒーの定義>
SCAKはスペシャルティコーヒーを「品質とサービス、価格面で他の製品とは差別化された高級コーヒー」と定義づけている。ここで言う価格とは、生産者からカフェでコーヒーを販売する人まで全てに適正な利益を保証できるものを指す。
<市場の特性>
1.小規模のカフェがスペシャルティコーヒーを市場を牽引
2.大手チェーン店のフランチャイズが継続して増加
スターバックス(1999年参入)は、現在376店を展開。
韓国チェーン Cafe Bene、Angel-in-usは各々500店以上展開。
3.殆どのカフェではコーヒー以外にケーキ、クッキー、スムージーなどの食物や飲物が販売され、コーヒー以上の売上となっている。
4.コーヒーについての教育が盛んである。コーヒーの知識、技術を教える学校が多く、独自の証明書を発行する私立学校が増加。1999年よりQグレーダー養成コースが開かれている。
5.韓国の人は割り勘をせず、おごる事が多い。またカフェに長時間滞在する事も珍しくない。
<市場の課題>
1.店舗賃貸料、原料価格の上昇
2.上質原料生豆の不足
3.過当競争(カフェビジネスにより高利益が得られるとされ、アンケートでは76%の人がカフェ開業を考えているとの返答あり)
4.公害防止対策
5.法規改正により、厳格化された衛生面への対応