ブラジル編(2009.08)
コーヒーの生産量世界1位、GNPの向上に伴い国内消費の割合も増えてきているブラジルのレポートです。
ブラジルの木(バウ・ブラジル)
1500年、ポルトガル人が赤い染料原料となる植物(海岸に自生したバウ・ブラジルの木)を見つけ、ヨーロッパに広く知れわたり、ブラジルと名付けました。
■ブラジル連邦共和国 〜農業大国のブラジル〜
人口:1億9千万人
面積:851万平方キロメートル
首都:ブラジリア
言語:ポルトガル語
通貨:レアル
・コーヒー さとうきび オレンジ →世界第1位
・大豆 キャッサバ芋 牛肉 鶏肉 →世界第2位
・とうもろこし →世界第3位
・穀類(米・小麦) 豚肉 →世界第4位
近年、バイオエタノールを作るための、サトウキビ栽培が盛んになってきています。
・栽培面積600万ヘクタール(コーヒーは240万ha)
・その約60%がサンパウロ州に集中(コーヒーは10%程度)
・ヘクタールあたりの生産性がUP、技術進歩により搾取率も向上
■日本との歴史
1895年 日伯修好通商条約
1908年 笠戸丸にて781名の日本人がサントスに入港
1925年 日本としての国策移民が初めてサンパウロに
1942年 太平洋戦争により国交断絶
1952年 対日講和条約、日伯通商協定調印 国交回復
1955年 コチア青年移民第一弾 以降16年間に2,508名
1974年 田中角栄首相 セラード開発協力に合意
1975年 コーヒー生産地に大霜害 壊滅状態に
1980年以降 人的、経済的交流が深まる
1985年 JICA業務開始 リンゴ(フジ)や柿(ふゆ)が普及
2008年 ブラジル移住100周年(「日本ブラジル交流年」)。
世界最大の日系社会の存在(約140万人、海外日系人の半数以上)。
本邦には在日外国人第3位の約27万人のブラジル人コミュニティーが存在。
■ブラジルコーヒー産地
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■南ミナス(Sul de Minas)
・生産量:アラビカ約35%
・標高:900〜1300m
・農園規模:大〜中〜小
・主な産地:バルジニア、トレスポンタス、 サントアントニオ、グァシュペ 、マシャド、カルモデミナス
・特記:多種多様 (規模、歴史、共同体)
■セラード (CERRARDO)
・生産量:アラビカ約15%
・標高:800〜1000m
・農園規模:極大〜大
・主な産地:パトロシーニョ、アラグアリ、モンテカルメロ
・特記:灌漑設備
■サンパウロ/モジアナ
・生産量:アラビカ約10%
・標高:800〜1200m
・農園規模:中〜小
・主な産地:フランカ(ポソスデカルダス、ピニャル)、ベラクルス
・特記:起伏ある小高い丘陵地。歴史ある農園。
■産地事情〜地域特性
産地 | 主な栽培品種 | 標高 | 断面地形 (西ー東) |
主な農園 規模 |
灌漑 | 流通段階 |
バイア | ムンドノーボ | 800-1000 | 極大 | 必須 | 少 | |
エスピリットサント | コニロン(カ) | 500-1400 | 極小〜小 | 一部 | 多 (一部少) |
|
ミナスジェライス | ||||||
南(カルモデミマス・ サントアントニオ・バルジイア等) |
多種 | 950-1400 | 中〜大 | 一部 | 並 (一部少) |
|
西(グアシュペ・パライソ・ ポソスデカルダス) |
多種 | 800-1200 | 中〜小 | 一部 | 並 (一部少) |
|
北(パトロシーニョ・ モンチカルメロ=セラード地帯) |
ムンドノーボ | 800-1000 | 極大 | 殆ど | 少 | |
モジアナ | 多種 | 950-1100 | 中〜小 | 無し | 並 (一部少) |
|
パラナ | 多種 | 800-1000 | 小〜中 | 無し | 多 |
地形が平坦なほど、機械的な集約農業が可能です。
■アラビカ種栽培品種
品種 | かけ合わせ | 成熟度 |
ブルボン | 遅 | |
ムンドノーボ | スマトラ×ブルボン | やや早 |
アカイア | スマトラ×ブルボン | やや早 |
カツアイ | ムンドノーボ×カツーラ | 遅 |
イカツ | ロブスタ×ブルボン×ムンドノーボ | 遅 |
カツカイ | イカツ*カツアイ | 並 |
農園では多品種を栽培することにより、収穫時期をずらし、労働効率、精製効率をよくしています。
■流通形態
■乾燥式(非乾燥式・ナチュラル)
*生産量の90%以上
*生産量の10%
パルプドナチュラル方式+水洗式
1995年に開発、未熟豆混入率が 乾燥式に比べ大きく下がるというメリット。
手前の黒い豆がナチュラル、奥の白っぽい豆がパルプドナチュラルの乾燥場
■パルプドナチュラル方式
■輸出規格の格付け
COB方式 | スクリーン | |
タイプ2 | 〜11欠点 | S17/18 |
タイプ4/5 | 〜36欠点〜 | S14/15/16 |
※300g中に含まれる欠点豆の合計点
1欠点と換算される欠点豆の種類と数
黒豆(1)、発酵豆(2)、虫食い豆(2〜5)、未熟豆(5)、 砕け豆(5)、貝殻豆(3)
混入異物による欠点
外皮(ポッド)、パーチメント、石・木・土など
生産量推移
コーヒーの木の特性で表作年と裏作年が交互にあります。
国内消費量推移
ブラジルのGMP向上に伴い、国内消費の割合が増えてきています。
通貨レアルの推移(対ドル)
ブラジルの国力が強まってきています。 1レアル=60円位
産地事情〜総合
・レアル高&コスト高
・生産者支援制度
・品質レベルを見極める高い技術
消費地→輸出業者(→生産者団体)→農園
・生産者組合など共同組織にて品質向上
・国内消費市場における品質レベルの向上
↓ ↓ ↓
コーヒー生産国として先進国化が進む