インドのコーヒー生産について
2011.09.28 SCAJ2011カンファレンスより
インドコーヒーボード
Y.Raghuramulu博士
インドは生産するコーヒーのおよそ30%がアラビカ種、70%がロブスタ種であり、そのトータルは500万袋(1袋=60kg)余りで世界のコーヒー生産国の中でも6がん目の生産量を誇っており、その70%が輸出されている。
栽培は南部を中心とした標高1000メートル以上の高原地帯が主で、日陰に栽培されるために250種に及ぶ日陰樹が適宜用いられることによりコーヒー園は森のような様相となり、80種類の鳥類とトラや像といった大型の動物まで生息し多様な生態系を生み出している。また、インタークロップとしてオレンジやコショウの栽培もおこなわれており、コーヒーに次ぐ重要な作物になっている。これらの豊かな自然環境を破壊することなく持続的なコーヒー栽培を続けるため、化学肥料の使用を極力抑えたり(必要に応じて年2回程度)、一部では完全無農薬栽培がおこなわれ、生態系にやさしい農業を目指している。また、労働集約的であるコーヒー栽培では、労働者には政府による労働環境の保護、整備が約されている。
インド国内にある13のコーヒー栽培エリアが代表的。インドコーヒーボードが認定するスペシャルティコーヒーとしては、Mysore Nuggets、Monsooned Malabar、Robusta Kaapi Royaleの3品種がある。このうちMysore Nuggetsは13の地域の中でもChikumagalur、Coorg、Biligiris、Bababudangiris、Shevaroysの5地域のみで栽培された水洗式アラビカからさらに選び抜かれる。Robusta Kaapi RoyaleはCoorg、Wayanaad、Chikumagalur、Travacoreで栽培された水洗式ロブスタのみから選抜される。 珍しいのはMonsooned Malabarであり、南インド西岸の湿気を含んだ風で乾燥させた非水洗式のアラビカとロブスタで、あえてコーヒーをふやけさせ、カビっぽいフレーバーを与えているという。日本よりもヨーロッパで人気があるコーヒーとの事。