ジャマイカ編(2011.02)
ジャマイカ概要
- 独立:1962年8月
政治:英国女王エリザベス2世を元首とする立憲君主制、イギリス連邦に属する議会制民 主主義。ジャマイカ労働党(JLP:現政権与党)と人民国家党(PNP)の2大政党
議会:上院21名、下院60名の2院政
政府:首相:ブルース・ゴールディング、外相:ケネス・ボー、農相:クリストファー・タ フトン
人口:268万人(2007年世銀資料) ほぼ同数のジャマイカ人がアメリカを中心にイギリスなど海外に住んでいるといわ れています。
首都:キングストン(人口約70万人)
民族:アフリカ系黒人91%、黒人系混血6.2%、インド系0.9%、その他1.2% 言語:英語、パトワ語(英語と西アフリカの多言語が組み合わさったもの)
宗教:キリスト教(プロテスタント)が大半ですがユダヤ、ヒンドゥー、イスラム教徒も います。 宗教ではありませんがラスタファリズムというジャマイカ独自の思想があります。
主要産業:鉱業(ボーキサイト、アルミナ)農業(コーヒー、砂糖、バナナ)、観光業等
総収入:9,920百万ドル(2007 年世銀資料) 一人当たりの平均収入:3,710US ドル(2007 年世銀資料) 経済成長率:2.0%(2007 年世銀資料 実質GDP 成長率)
物価上昇率:8.6%(2007 年世銀資料)
失業率:9.9%(2007 年ジャマイカ統計局資料)
総貿易額:輸出 1,770百万米ドル(2007 年ジャマイカ統計局資料) 輸入 5,296百万米ドル(2007 年ジャマイカ統計局資料)
主要貿易品:輸出 アルミナ、ボーキサイト、衣類、砂糖、バナナ、コーヒー 輸入 燃料、機械・輸送機材、化学薬品、食料
主要輸出国:米国、カナダ、中国、英国、オランダ(2006 年IMF 資料)
主要輸入国:米国、トリニダード・トバコ、ベネズエラ、日本、中国(2006 年IMF 資料)
通貨:ジャマイカドル(J$) 為替レート:1 米ドル=89J$(2007 年7 月)
輸出量:日本の輸入量(暦年、トン、ICO 資料) コーヒー年度:8〜7 月
2007年 | 2008年 | 2009年 | |
総生産量(年度) | 1,200 | 2,400 | 1,919 |
輸出量 | 1,286 | 1,113 | 1,386 |
日本の輸入量 | 1,000 | 1,030 | 1,169 |
日本向け輸出比率 | 78% | 92,5% | 84,4% |
コーヒーの種類と規格
ジャマイカで生産されているコーヒーは大きく次の通り4種類に分けられます。
1. Blue Mountain
2. High Mountain Supreme
3. Jamaica Prime
4. Jamaica Select
Blue Mountain Coffee
ブルーマウンテンコーヒーの定義は、「コーヒー産業規則で定められたブルーマウンテン地 区で生産され、法律で定められた工場で精製・加工されたコーヒー」を言う。
法律で定められたブルーマウンテン地区とは、「Skibo に始まり東南東にSwift River に進 み、そこから東南東にChelsea 進む。そこから南東のBelleview、さらにJohn Crow 山の 西斜面の沿って南東にCedar Grove に進む。そこから西へFront Hill に、さらに北西へ Ramble に、次に西にGood Hope、さらに北西にDallas に、さらに北北西へIndustry Village に進む。さらに北北西へGolden Spring に、つぎに北へBrandon Hill に、さらにTranquility に、そして、東北東へSkibo に戻る。」範囲で囲まれた地域。 法律で定められたブルーマウンテンの精製・加工工場とは、Moy Hall、Silver Hill(すで に閉鎖)、Mavis Bank、Langley(すでに閉鎖)、Wallenford で、それ以外はコーヒー産業 公社が必要に応じて大臣の承認を得て、官報で通達されるものとする。
High Mountain Supreme
ブルーマウンテン地区以外の高地で栽培されたコーヒー
Jamaica Prime/Select
ブルーマウンテン地区以外で栽培されたコーヒー
コーヒーの栽培
ジャマイカで栽培されているコーヒーはアラビカ種で約90%はティピカ種です。
ジャマイカのクロップイヤーは8月〜7月で、一般的な収穫の時期については次の通りです。
Jamaica Prime/Select: ピーク9〜10月
High Mountain Supreme: ピーク10〜11月
Blue Mountain: ピーク11〜12月と2〜3月
8 月 | 新植地の準備として、清掃、穴掘り、有機肥料(鶏糞、パルプかすなど)を施肥。 チェリーの摘み取り 雑草、病害虫(ねずみを含む)の管理 新芽の選択 |
9 月 | チェリーの摘み取り 化学肥料、有機肥料を土に混ぜ、穴を埋める。 降雨状況がよければ、秋植え開始。 春にまっすぐ植えたものを曲げる。 |
10月 | 十分育った45 度の角度で植える苗木とまっすぐに植える若い苗木を選別し、秋植えを継 続。 春に開拓した区域で開けた日光の当たるところに常設の日よけを設ける。 病害虫の管理 ・摘み取り継続 |
11月 | 秋植を完了する。 9 月10 月に植えた苗木と春植の苗木に化学肥料を施肥。 インタークロップとして豆類、野菜などを植える。 一時的な日陰としてバナナを植える。 カットバックした木に化学肥料を施肥。 病害虫の管理 |
12月 | カットバック開始。9−12 インチの高さで45 度にのこぎりで切断。切り口に防腐剤を塗布。 必要であれば、生産している木に化学肥料を施肥。 雑草、病害虫の管理。 |
1月 | 9年以上の木のカットバック作業を完了。 特に若い木の雑草、病害虫の管理。 生産している木に施肥。 |
2月 | 春植の農地選択と準備。清掃、穴掘り、有機肥料(鶏糞、パルプかすなど)を施肥。 カットバックした木の新芽の選択。雑草除去。 |
3月 | 化学肥料、有機肥料を土に混ぜ、穴を埋める。 カットバックした木の新芽選択完了。 4 フィート6 インチで2〜3 年目の木の先を切る。 ・ 必要であれば病害虫の管理 |
4月 | 降雨状況がよければ春植開始。 十分育った苗木(10 ヵ月以上)風の方向または等高線に直角に45 度の角度で植える。 9 ヶ月以下の苗木はまっすぐに植える。 秋に植えた木をマルチシュートシステム(平均3 本)で生産するために45 度の角度に曲 げる。 木の状態を見ながら生産している木に化学肥料を施肥。 |
5月 | 降雨状況のよいときに春植を継続。 秋に植えた区域に常設のシェードツリーを植える。 施肥計画を完了。 病害虫の管理。 先端をカットした木の新芽を選択。 |
6月 | 春に植えた苗木に化学肥料を施肥。 ・ インタークロップ計画として穀類、ヤム、野菜をコーヒーの木の間に植える。 ・ 一時的なシェードツリーとしてばしょうやバナナを植える。 |
7月 | 5 月6 月に植えた苗木の施肥を完了。 木の状態により必要であれば追加施肥を行う。 秋に植える農地の調査。 ・病害虫の管理。 |
輸出までの流れ
ブルーマウンテン農園(1)
農園名:なし
農園主:Basil Williams
標高:3400〜3800ft (約1000〜1150m)
総面積:3.5 エーカー(1.42ha)
栽培本数:約3100 本
栽培品種:ティピカ約90%、数種類のハイブリッド種約10%
生産量:122.5
ブルーマウンテン農園(2)
農園名:Clifton Mount Coffee Estates Ltd.
農園主:Sharp 一家(責任者Mr. Richard Sharp)
標高:4000〜4600ft (約1200〜1400m)
総面積:120 エーカー(48.6ha)
栽培面積:46.52 エーカー(18,84ha)
栽培本数:約40,500 本
栽培品種:ティピカ約90%、数種類のハイブリッド種約10%
生産量:37,500boxes
Mavis Bank Coffee Processor 社(MBCF)
MBCF の歴史は、1885 年にMr. Cecil Augustus Munn がストロベリーヒルにコ ーヒー農園を購入したことに始まり、1920 年代に現在のMavis Bank に加工工場 を建設、現在は精選及び輸出業者としてブルーマウンテンコーヒーの約30%を扱 っています。日本との取引は1953 年に数樽輸出したことに始まり、すでに50 年 以上続いています。
責任者: Director & CEO Senator Norman W. Grant
Wallenford Coffee Company 社
2000 年ジャマイカ政府の民営化政策によりコーヒー産業公社をRegulatory(監督 部門)とCommercial(商業部門)に分割、2003 年にWallenford Coffee Company Ltd.と社名を変更して現在に至る。ブルーマウンテンは約30%、ハイマウンテン やジャマイカプライムなどブルーマウンテン以外のコーヒーは約90%取り扱って います。
責任者:CEO Mr. Colin Newman
BM Coffee Processor 社
新しい精選工場。約30%のブルーマウンテンを取り扱う。
責任者:CEO Mr. Richard Sharp
Coffee Industry Board
ジャマイカコーヒー産業全体の監督官庁。 コーヒーにかかわる許認可、指導、輸出検査まで大変厳しい管理を行って、ジャ マイカコーヒーの信頼の中心となっています。
責任者:Chairman Mr. Howard Michell Director General Mr. Christopher Gentles
輸出港
Kingston 港湾部にあるコンテナ専用埠頭
残留農薬検査機関
ウエストインディ大学の化学部門で残留運農薬検査
ハイマウンテン農園(1)
農園名:Uncle C’s Farm
農園主:Howard Smart
標高:1800〜2000ft (約550〜600m)
総面積:20 エーカー(8.1ha) 栽培面積:17 エーカー(6.9ha)
栽培本数:約11,000 本
栽培品種:ティピカ約90%、数種類のハイブリッド種約10%
ハイマウンテン農園(2)
農園名:Baronhall Farm Ltd.
農園主:Mr. Jackie Minott
標高:1500〜1800ft (約450〜550m)
総面積:1302 エーカー(527ha)
栽培面積:297 エーカー(120ha)
栽培本数:約220,000 本
栽培品種:ティピカ約90%、数種類のハイブリッド種約10%
生産量:14,000〜20,000boxes