コーヒー産地市況ニュース
2012年5月26日
コーヒー市場の市況
2011/12 年度の全生産量は2010/11 年度に比べ2.1%減の131.4 百万袋と予想される。2011/12 年度の全生産量の90%を占める15 大生産国のうち、2010/11 年度に比べ減産となるのは8 か国である。それらの国は、ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、グアテマラ、インドネシア、メキシコ、ウガンダ、及びベトナムである。残りの7 か国、すなわちコスタリカ、コートジボアール、エチオピア、ホンジュラス、インド、ニカラグア及びペルーは増産予想である。
2012/13 年度の収穫はブラジル、インドネシア、ペルー、パプアニューギニアなどで始まったところである。現段階で唯一可能な生産量情報はブラジルの公的収穫予想機関であるCONABによるもので、彼らの第二回予想によると同国の生産量は50.5 百万袋とのことである。この年度はブラジルにとっては2 年生産サイクルで生産性の高い表作にあたることをご承知頂きたい。しかし、ブラジルの生産者の間では現在の天候に関し、いくつかの生産地域での多雨以外にも、特に冬の到来に伴う平年を超える寒さなどに深刻な関心が払われていることも事実である。
3 月の輸出量は9.9 百万袋であり、2011/12 年度の最初の6 か月(2011 年10 月―2012年3 月)の累積輸出量は51.7 百万袋となり、前年同期の52.9 百万袋に比し2.3%の減少となった。次に最近12 年間の主要輸出国の簡単な輸出分析を紹介する。
主要輸出国のコーヒー年度最初の6 か月間の輸出分析
2011/12 年度の最初の6 か月にアザーマイルドとロブスタは12 年間の輸出記録を出している。ブラジルナチュラルは2010/11 年度に18.1 百万袋輸出し記録を達成している。コロンビアマイルドは7百万袋輸出された2007/08 年度に輸出記録が出ている。アラビカ全体としては、2010/11 年度10 月〜3 月に35.6 百万袋輸出し2000/01 年度からの最高記録を出しており、ロブスタでは2011/12 年度の19 百万袋が輸出記録である。
この簡易分析はコーヒー年度の最初の6 か月間の輸出データであることを認識願いたいが、4 グループ全ての過去12 年間の平均輸出量は46.2 百万袋である。同期間にコロンビアマイルドの平均輸出量は6 百万袋で、アザーマイルドは10 百万袋、ブラジルナチュラルは14.3 百万袋となっている。ロブスタについては、平均輸出量は15.9 百万袋であり、過去最高の水準となっている。
輸出地域別にみると状況は少し異なってくる。アフリカでは最高輸出量が記録されたのは約6 百万袋輸出された2000/01 年度であり、この数字は輸出国による全輸出量の13.7%のシェアーである。アフリカ最大の輸出国であるウガンダは2011/12 年度に1.3 百万袋輸出したが、これはこの地域の輸出量の33.8%である。エチオピアについては、当局は2011/12年度生産量としては大きな数字を公表しているが、2011/12 年度のこれまでの輸出量は非常に少なく、2010/11 年度の同期間の1.4 百万袋に対し、797 千袋のみである。
アジア・オセアニア地域では2011/12 年度の輸出量は、2010/11 年度同期間の14.9 百万袋に比し18.7%増加し17.7 百万袋となった。この輸出量はこの地域での輸出記録である。
インドは過去2 年間、2010/11 年度は2.6 百万袋、2011/12 年度には2.7 百万袋と最高輸出記録を出している。反対にインドネシアとタイでは輸出が減少している。ベトナムはこの地域の最大の輸出国であり2011/12 年度最初の6 か月の地域輸出量の63.8%を輸出しているが、全輸出国でのシェアーは21.9%である。2011/12 年度の同国の輸出量は当局の生産量予想を考慮すると異常に多いように思える。もしこの水準の輸出が今後も続くようであれば生産量水準を修正せざるを得なくなるであろう。パプアニューギニアの輸出量は2010/11 年度最初の6 か月の336 千袋から2011/12 年度同期間には705 千袋と109.7%増加した。
メキシコ・中米地域では2011/12 年度のこれまでの輸出量は7.2 百万袋であり、前年とほぼ同じ数量である。メキシコとホンジュラスは夫々27%、24.6%増加したが、サルバドル(−47.4%)、ニカラグア(−31.6%)は減少した。コスタリカの輸出量は僅かに3.1%減少した。地域全体としては、全輸出国におけるシェアーは13.9%であり、過去3 年間若干の差異はあるが概ね変わらない水準である。
南米地域ではブラジルとコロンビアの輸出量は夫々14.3%、21%減少したが、ペルーとエクアドルの輸出量は夫々41.8%、17%増加した。ブラジルの2011/12 年度の最初の6か月間の輸出量の減少は、この年度が2 年生産サイクルの裏年にあたることが主な原因である。ブラジルは2010/11 年度に18.3 百万袋を輸出し、最高記録を出した。コロンビアは過去3 年間連続して減産しているが、全輸出国におけるシェアーも2007/08 年度の13.6%に対し、わずかに7.6%を占めるのみとなっている。
2011/12 年度の輸出をみると、わずかに一地域(アジア・オセアニア)のみが輸出量を大きく増やした。メキシコ・中米地域の輸出量には大きな変化はない。その他の2 地域(アフリカ及び南米)では2011/12 年度の最初の6 か月間の輸出量は減少している。
過去4 暦年の世界の消費量推移、2011 暦年の暫定消費量は137.9百万袋で、前年に比べ1.7%増加している。過去12 年間、消費量は年率平均2.5%で伸びている。世界の消費は引き続き堅調だが、特に輸出国及び新興国の国内消費の伸びが大きい。
しかし、いくつかの重要な市場で消費が落ちてきている。即ち、伝統消費国の中でも南ヨーロッパ、例えばスペイン(−2.6%)、イタリア(−1.8%)だが、これらの国は小売価格の上昇とマクロ経済の混乱が複合的に影響しているものと思われる。
世界需要関連情報(ICO情報)
国際コーヒー機関(ICO)は、2011年の世界のコーヒー消費量を、前年度比1.7%増となる137.9百万袋と発表した。直近12年間の年伸び率は2.5%であったことから、成長が鈍化したことが読み取れる。成長鈍化の主原因は、小売価格の値上げ、および欧州債務問題に伴う経済状況の悪化とのこと。特に、イタリアやスペインなどの南欧諸国の消費量減が顕著で、イタリア市場については焙煎豆価格が16%上昇し消費量は1.8%減少、スペイン市場については小売価格が12%上昇し消費量は2.6%減少。また、日本市場については消費量が2.5%減少と発表された。
コロンビア産地情報
・全体的には気温が低く降雨が続いているが、晴天も見られるとのこと。ミタカクロップの地域(主に中南部)では、開花が順調だったため、過去数年と比較して収穫数量増が予想されている。ウィラ等中南部地域では収穫が遅れているが、ナリーニョは順調。
・ミタカクロップの生産量減により、2012年の生産量は史上最低レベルにまで落ちる可能性がある。4〜6月の間に収穫されるミタカの生産量は年間生産量の約3分の1に相当する。しかしながら生産者たちからは、昨年の3.1百万袋/60kgから30%減との声も聞かれ、年間生産量では昨年の7.8百万袋を下回る可能性があると見ている。
・ラニーニャによる長雨とリノベーションの影響が大きく、年間生産量に関しては7百万〜7.2百万、また7百万に届かないのではとの声も出始めている。
・FNCによると、4月の生産量は前年同期比11%増の58万袋/60kgとなり、輸出量は49.5万袋となった。また、この先の数カ月は生産量が増加すると予想されているものの、完全に生産量が回復するのは、リノベーション後の新しい樹による生産が始まってからになるとのこと。
グァテマラ産地情報
・中米第2の生産国であるグァテマラでは、4月の輸出量が前年同期比13.7%ダウンの37.95万袋/60kgとなった。
・サビ病が流行しており、同国の約40%のコーヒー地域で被害が生じている。通常は暖かく温度の高い低標高地域で流行るものの、今年は標高が高く寒いところも見られており、被害は昨年より大きいとのこと。これを受けて、ANACAFEは11/12クロップの生産量見通しは、前回370万袋から340万袋と下方修正した。
・多くの産地では一回目の開花ないしは二回目の開花が見られており、Huehuetenangoでの開花は特に順調とのこと。
・来週より雨期が始まると予想されている。
ホンジュラス産地情報
・中米最大の生産国となったホンジュラスでは、4月の輸出量が前年同期比36.1%アップの76.12万袋/60kgとなった。
・IHCAFEによると、5月8日時点で11/12クロップの累計輸出量は前年同期比22%増の約332万袋/60kgとなったとのこと。
・多くの産地では、雷雨が観測されたとのこと。
エルサルバドル産地情報
・カレントクロップの取引はほぼ終了しているが、一部では12/13クロップの取引が始まっているとのこと。
・同国の北部と西部では雷雨が観測された模様。
ブラジル産地情報
・先週は国内取引が活発に行われた模様であったものの、輸出取引についてはレアル安にもかかわらず、売り手と買い手のアイデア価格が大きく開いていたため、活発ではなかった。
・CECAFEでは4月の輸出量を196万袋/60kgと発表。内訳はアラビカが170万袋、コニロンが3万5千袋、インスタントが24万3千袋相当。ブラジルの輸出量が200万袋を下回ったのは2008年6月以来であり、ここ最近の輸出量急減速が鮮明になっている。
・また、CONABが発表した12/13クロップの第2回目見通し数量は前回比微減となる5,045万袋(1月発表の前回見通しは5,061万袋)で、内訳は3,810万袋がアラビカ、1,230万袋がコニロン。地域別では、ミナス・ジェライス州、エスピリト・サント州、サンパウロ州等で前回見通しより生産量が多くなり、サンパウロ州では1〜3月のまとまった降雨が観測された影響で前回見通し比9.5%となった。一方ロンドニア州、マタ・グロッソ州、パラ州、バイア州で前回見通しより少なくなった。特にバイア州では1月以降の干ばつの影響で19.3%減と、大幅減となった。
ウガンダ産地情報
ウガンダコーヒー開発機構によると、同国4月のコーヒー輸出量は前年同期比約2割減の141,220袋/60kgとなったと発表した。
コスタリカ産地情報
4月の輸出量が前年同期比23.5%アップの16.75万袋/60kgとなり、12/13クロップの生産量の増加が見込まれている。
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